Sunday, March 23, 2003

【映画】わんぱく離婚同盟

発売元:ヘラルド・エース1991年 地域:フランス

原題:GENIAL, MES PARENTS DIVORCENT!

監督: パトリック・ブラウデ
製作: アンヌ・フランソワ クリストファー・ランバート
 シリル・ド・ルーヴル クリスチャン・シャ
脚本: パトリック・ブラウデ
撮影: ティエリー・アルボガスト
音楽: ジャック・ダヴィドヴィッチ

出演: アドリアン・ディラン
 ジャンニ・ジャルディネッリ ヴォロディア・セール
 ジェニファー・ローレ パトリック・ブラウデ

90年当時 フランスの離婚率は50%だったそうです。その事実を受け子供の立場から風刺したのがこの映画。邦題は「わんぱく戦争」「わんぱく旋風」「マルセルのお城」など子供主演映画で有名なイヴ・ローベルから拝借したのだろう。実際の映画自体も「わんぱく~」名に恥じないノリである。

主人公の小学生ジュリアンはフランス南部地方に住んでいる。彼の通う学校では親が離婚している子供たちを離婚していない子供たちが差別していた。当初は離婚していないグループだったジュリアンだったが両親が離婚してしまいグループを追い出されてしまう。迫害される身になった彼と仲間は少数派。旗色が悪すぎる。「そうだ。みんなの両親を離婚させ仲間を増やそう!」(笑)
主軸はこんな感じで、そこにジュリアンへ恋心を寄せる担任教師の娘との恋の行方を「小さな恋のメロディ」チックに絡めたオッシャレさとフランス的キツさをかね揃えた作品です。

「わんぱく旋風」のような小生意気で愛くるしい子供映画が好きな人にはど真ん中ストライクな映画だと思います。おすすめ!

しかし「わんぱく旋風」「トリュフォーの思春期」といい、フランス傑作子供主演映画はなぜDVDにはならないのかなぁ…(東京恵比寿ガーデンプレイスのTSUTAYAには置いてありました)

評価:★★★★☆ 4

Wednesday, February 26, 2003

【映画】蜜の味

「ナック」の主演女優リタ・トゥシンハムが主演デビューした魅力満載の映画。

蜜の味 (1961/英) A Taste of Honey
製作・監督:トニー・リチャードソン 脚本:トニー・リチャードソン / シェラ・デラニー 原作:シェラ・デラニー 撮影:ウォルター・ラサリー 音楽:ジョン・アディソン

出演:リタ・トゥシンハム(ジョー) / ドーラ・ブライアン(ジョーの母親) / ロバート・スティーブンズ(ペーター:母親の再婚相手) / マレー・メルビン(ジェフリー:ゲイ少年) / ポール・ダンカン(ジミー水兵:ジョーの恋人:黒人)

1960年に上演されたブロードウェイ・ミュージカルを「トム・ジョーンズの華麗な冒険」「ホテル・ニューハンプシャー 」などを手がけたトニー・リチャードソン監督が映画化。

ミュージカル用に作られた同名の主題歌は1963年にビートルズのファーストアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」にカバー曲が収録。また1965年にはハーブ・アルパート&ティファナ・ブラスのカバーがグラミー賞を獲得。

【ストーリー】恋多き母親ヘレンと娘のジョー(14~15くらいか)。ジョーは学校では変人あつかいされ、母親ヘレンの恋人ピーターとも折り合いが付かない。そんなジョーが心を許したのはマンチェスターへ寄港した船の黒人水夫ジミーだった。ヘレンはピーターに馴染めないジョーと対立。再婚するために出て行ってしまった。ジョーが恋するジミーは水夫。やがて彼の乗った船は港を去ってしまったのであった。一人ぼっちになってしまったジョーは靴屋の売り子として働き始める。そして店で知り合ったゲイである少年ジェフリーと友達になる。彼は非常に繊細で大ざっぱなジョーの世話をする。やがて共同生活を始めたジョーとジェフリー。不思議な共同生活の中、ジョーは自分がジミーの子供を宿してしていることに気付く。ジェフリーは一緒に子供を育てようと提案するがジョーは情緒不安定に…

っと言う感じで書き出すと非常に暗い内容である。この時代に得体の知れない黒人の子供を宿すことなど映画でもさぞ過激だったろうに。

しかしジョー役は「ナック」で知られたリタ・トゥシンハム。彼女の醒めた子供の目と体から醸し出される眠たいオーラー、トニー・リチャードソン監督の目線と洒落た音楽で映画は思春期独特の切なさや悩みを優しく包み込んでいる。

あまりレンタルビデオでも置いていない作品だがハッキリ言って名作だと思う。英国の白黒映画にも知られていない良い作品は沢山あります。

池田博明氏による論評

評価:★★★★★ 5

2003/2/26 関心空間登録に加筆(英国ではDVD出たし日本でも出ないかなぁ)